皮下脂肪と内臓脂肪について
2021年お正月 皮下脂肪と内臓脂肪について
糖尿病と肥満は深い関係があり、肥満の分類において、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満
に分けることができます。これは脂肪のつく部位の違いで皮下にたまるか内臓(おなか)
にたまるかによります。脂肪は本来、エネルギーを貯蔵する役割がありますが、最近、
脂肪は内分泌臓器、すなわちホルモンを産生し体の代謝を調節している働きがあること
がわかってきました。このホルモン(アディポサイトカイン)には善玉、悪玉があり
血糖値や体重、動脈硬化などに影響を与えているため糖尿病において血糖値やその
合併症である動脈硬化に大きく関係しています。ここで重要なのは、内臓脂肪が増加
すると悪玉ホルモンが増えると同時に善玉ホルモンが減り、生体に悪影響を及ぼして
しまうことです。内臓脂肪が増えるといわゆるメタボリック症候群となり、血糖、血圧、
中性脂肪が上昇し心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化症が進行します。内臓脂肪型肥満の
診断基準は、腹部CT検査で臍部断面の脂肪面積が100cm2以上とされていますが、自分
で簡単に知る方法があります。息を吐き切った状態で、自分のおへそのレベルで腹囲を
測定し、男性で85cm以上、90cm以上あれば内臓脂肪型肥満ということになります。
相撲の力士は肥満体型のように見えますが、厳しい稽古をこなしているせいか、実際、
内臓脂肪はあまりなく皮下脂肪が蓄積しているようです。対策としては、まず減量、
体重を減らすことです。運動を励行し、摂取カロリー・栄養バランスを見直し
ましょう。体重が減ると、内臓の脂肪から減っていき1kgの減量で1cm腹囲が縮まると
言われ、血糖、血圧、中性脂肪が改善し、見た目もよくなります。まず現体重の
3%、(2~3kg)減らすことを目標にしましょう。
お正月が終わってから内臓脂肪のことを意識してみませんか?
監修:上野尚彦 (上野内科・糖尿病クリニック院長)
日本内科学会認定 総合内科専門医
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 非常勤講師
日本糖尿病学会 近畿支部評議員
1988年に島根医科大学を卒業後、神戸大学医学部第二内科に入局。神戸大学大学院医学研究科博士号を取得。米国フロリダ大学医学部 博士研究員、神戸海岸病院内科部長などを経て、上野内科・糖尿病クリニックを開院。