脂肪肝について
脂肪肝について
肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積している状態を脂肪肝といいます。
2型糖尿病と脂肪肝は密接に関係し、2型糖尿病においては20~
80%が脂肪肝を合併していると報告されています。脂肪肝があると
インスリンの効き具合が悪くなり糖尿病の原因になる可能性があります。
脂肪肝の原因としては、アルコール過飲による中性脂肪の蓄積によるもの
がありますが、最近ではアルコールとは関係のない非アルコール性脂肪肝
(NAFLD、ナッフルディー)が注目されています。日本人では
非アルコール性脂肪肝が多く、肥満や食べ過ぎ、運動不足などが原因
となります。実は、アルコール性脂肪肝よりも非アルコール性脂肪肝
の方が深刻で放置すると肝硬変さらには肝臓がんに進行する率が高い
ことが知られています。さらに脂肪肝は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈
硬化につながりやすく注意が必要です。それでは脂肪肝を予防したり
進行を止めるにはどうしたらいいのでしょうか?非アルコール性脂肪肝
はメタボリック症候群の表現型であると考えられていますので、まずは
減量を行い、おくなか周りを小さくすることです。現在のところ脂肪肝
に有効な薬はほとんどなく食事のとり方の見直し、運動の励行が必要と
なります。
具体的対策としては、糖質と脂質の摂取を抑え、野菜類、大豆製品
(豆腐、納豆など)を増やしてできるだけ食事の最初にとること。
運動についてはウォーキングなどの有酸素運動を増やすことに加え、
少し筋肉に負荷のかかるような軽いスクワット(自分のペースに
合わせた強度で)を加えるのが効果的です。日頃の通勤など
ウォーキングの前に10回程でもスクワットをしておくと脂肪
燃焼効果が増大します。
監修:上野尚彦 (上野内科・糖尿病クリニック院長)
日本内科学会認定 総合内科専門医
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 非常勤講師
日本糖尿病学会 近畿支部評議員
1988年に島根医科大学を卒業後、神戸大学医学部第二内科に入局。神戸大学大学院医学研究科博士号を取得。米国フロリダ大学医学部 博士研究員、神戸海岸病院内科部長などを経て、上野内科・糖尿病クリニックを開院。