夏場の血圧の下がり過ぎに注意
夏場の血圧の下がり過ぎに注意しましょう!(降圧剤内服中の場合)
糖尿病と血圧は深い関係があり、2型糖尿病患者の約半分に高血圧を合併すると言われ
ています。その原因として2型糖尿病では肥満が多く、そのことが原因で交感神経が緊張
し血圧を上げるホルモンの分泌が高まること。また肥満になるとインスリン抵抗性
(インスリンが効きにくくなること)が起こるため、それに抗してインスリン分泌
が多くなり、からだに塩分をを貯め込むため血圧が上がります。
診察室での血圧はストレス、緊張のため上昇しやすく高すぎると白衣高血圧になり
ます。逆に本当は血圧が高いのに“診察室で測ると正常”という仮面高血圧というのも
あるため、自宅での自己血圧測定を強くお勧めします。朝起床時、排尿した後続けて
2回測定し平均した値をモニターしてください。家庭血圧計の説明書を見直し正しい
測定方法で測定し、できれば1日2回(起床時と就寝前)測定するようにしましょう。
起床時の血圧測定は、脳梗塞や心筋梗塞のような動脈硬化や腎障害のような臓器障害
を進行させる夜間高血圧や早朝高血圧の検出に役立ちます。
夏場、血圧測定で注意すべき点は、降圧剤内服中の場合血圧が下がり過ぎる可能性が
あるということです。血圧は気温が上がると、全身の血管が拡張し血管内の圧が下がり、
汗が出ることにより水分・塩分を失い血圧は低下傾向となります。糖尿病の治療において
血糖と同様に血圧も良好な値ににコントロールにすることが重要ですが、血圧も低すぎる
と内臓への血液供給不足が起き弊害が起こります。降圧剤服用中で、ふらつきや立ちくら
みが出た場合すぐ血圧をチェックすることが必要で、家庭血圧で収縮期血圧(上の血圧)
が100以下になるような場合下がり過ぎの可能性があります。くすりで血圧が下がり
過ぎるような事態は避けなければなりません。そのような場合は早めに主治医と相談
してください。
今からが夏の本番です。暑いときは汗をかいている自覚がなくても皮膚や息から水分を
失いますので多めに水分をとり、汗をかいた自覚があればその時は少し多めに塩分も
とりましょう。
監修:上野尚彦 (上野内科・糖尿病クリニック院長)
日本内科学会認定 総合内科専門医
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 非常勤講師
日本糖尿病学会 近畿支部評議員
1988年に島根医科大学を卒業後、神戸大学医学部第二内科に入局。神戸大学大学院医学研究科博士号を取得。米国フロリダ大学医学部 博士研究員、神戸海岸病院内科部長などを経て、上野内科・糖尿病クリニックを開院。