糖尿病と新型コロナウィルス感染症について
糖尿病と新型コロナウィルス感染症について
糖尿病があると新型コロナウィルス感染症の重症化リスクが上昇すると
言われています。なぜ糖尿病があると危険なのでしょうか?
糖尿病になると免疫機能が低下しやすい、すなわち感染症にかかる
可能性が高くなります。その原因のひとつとして血糖値の過上昇が
あります。血糖値が200mg/dl以上になると、生体を防御している
白血球の機能が低下することが解っており、ウィルスの排除が困難
になることが考えられます。従って血糖値を良好にコントロールして
いくことが重要になってきます。食事をすると血糖値は上昇します
ので、自己測定をして食後血糖が200mg/dlを超えないように
しましょう。自己測定ができなければ尿検査で食後1~2時間に
検査を行い、尿糖陰性(-)を目指しましょう(陰性であれば推定
血糖値はほぼ180mg/dl以下になっているはずです)。その他の
原因として、糖尿病の合併症がある程度進んでいるとリスクが高く
なることが考えられます。動脈硬化が進んでいたり微小血管に障害
がある場合、末梢での血液の循環障害が起こり、臓器に酸素や糖分
などの栄養分が供給されなくなったり、白血球が組織の末梢まで
届かず免疫能が低下する可能性があります。また、糖尿病において
インスリンの効きが悪く血糖値が上がっている場合、白血球内の
糖代謝もうまく働かず、白血球自体の機能が落ちてしまう可能性も
あります。
糖尿病イコールリスクが高いではなく、しっかりと血糖を良好に保ち
、それによって糖尿病の合併症をおこさないあるいは進行させない
ことが重要であると思われます。
今のご時勢、なかなか外出しづらく活動度が落ちて体重が増え、
血糖値も上昇しがちです。現在の状況では混雑しているところに
さえ行かなければ散歩・ジョギング・自転車での運動は問題ない
でしょう。家の中でじっとせずに音楽でも聞きながらストレッチ、
スクワット等を行ったり、家事・掃除・整理整頓などでもカロリー
消費は期待できますので、こまめに体を動かしましょう!
監修:上野尚彦 (上野内科・糖尿病クリニック院長)
日本内科学会認定 総合内科専門医
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 非常勤講師
日本糖尿病学会 近畿支部評議員
1988年に島根医科大学を卒業後、神戸大学医学部第二内科に入局。神戸大学大学院医学研究科博士号を取得。米国フロリダ大学医学部 博士研究員、神戸海岸病院内科部長などを経て、上野内科・糖尿病クリニックを開院。